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兵庫県は、人口減少や高齢化が進む山間部や農村部などの「多自然地域」を対象に、持続可能な地域づくりを後押しする事業を公表した。ポイントは、県が市町村や地域団体の取り組みを広域的かつ専門的な立場から支える点にある。地域の担い手が足りず、行政職員も限られるなかで、計画づくり、人材の確保、事業の立ち上げといった場面で、県が知見や調整役を提供する形である。従来の補助金型の支援とは異なり、課題整理から実行までに伴走する姿勢を打ち出している。都市部と違って一つの町だけでは解決しにくい課題が増えるなか、県が前面に出る意味合いを探る。

引用元: 持続可能な多自然地域づくりプロジェクト-県による広域的・専門的支援事業-(兵庫県ホームページ)

分析・見解

補助金から伴走へ、県の役割が変わりつつある

従来の地域支援は、市町村が計画を作り、県が費用の一部を補助するという分業が中心だった。しかし小さな町では、計画を書ける職員そのものが足りない。企画担当が総務や防災を兼ねる例も珍しくない。

そこで県が専門人材を出し、計画づくりの段階から関わる方式が現実味を帯びる。お金を渡して終わりにせず、課題の見立てから実行までを一緒に走る。これは国の地域おこし協力隊や、都道府県による市町村支援チームの流れとも重なる。

多自然地域という言葉が示す、守る対象の広がり

兵庫県は但馬、丹波、淡路、播磨北部まで、海・山・農地が入り混じる広い県である。都市と農村を二分する見方では、こうした多様さをうまく捉えられない。

「過疎」という言葉は、減っていくことを前提にした響きがある。一方で「多自然」は、自然資源や暮らしの魅力を強みとして捉え直す言葉である。守る対象を人口から暮らしの質と資源の活用へ移す発想が読み取れる。移住者の呼び込みだけでなく、関係人口(=地域に通って関わる人)を育てる設計にも向くだろう。

広域で動く意義は、規模の小ささを補えることにある

公共交通、医療、水道、学校の維持は、一つの町だけでは採算が合いにくい。隣り合う複数の町が共同で担えば、設備や人材を分け合える。鳥取県や島根県でも、県が音頭を取って中山間地域の拠点づくりを進めてきた。

ただし、広域連携には調整の手間がつきまとう。町ごとに事情が違い、負担割合で揉めやすい。県が中立の調整役になれるかどうかが、成否を分ける。

成果を測る物差しを先に決められるかが鍵

この種の事業でよく起きるのは、立ち上げ時は盛り上がるのに、数年後に担い手が疲れて止まる展開である。人口の増減だけで評価すると、努力が見えにくくなる。

見るべきは、地域で稼ぐ仕組みが何件生まれたか、住民が主体で動く場がいくつ残ったか、といった指標だろう。県が伴走を終えたあとも回り続ける状態が、本当のゴールである。

ビジネスへの影響

地域に拠点を置く企業にとっての好機

県が専門的な支援を用意する地域では、行政と組みやすい土壌が整う。観光、農業、再生可能エネルギー、デジタル活用など、地域課題と自社の事業が重なる企業は、実証実験の場として関わる道がある。

進め方としては、まず県や市町村の担当課に自社の強みを具体的に伝えることだ。「何ができるか」より「どの課題をどれだけ減らせるか」を数字で示すほうが、採択されやすい。

公募や連携で押さえたい三つの視点

一つ目は、単年度で終わらない計画にすることである。補助金が切れた後も収益が出る仕組みを最初から描く。二つ目は、地域の担い手を巻き込み、外部の企業だけで完結させないことだ。三つ目は、成果の測り方を行政と事前にすり合わせておくことである。

社員の副業や出向を通じて、地域に人を送る動きも広がっている。人材育成と地域貢献を兼ねる取り組みとして、中堅企業にも検討の余地がある。

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